定期診断をしないと大変なことに

富士宮市の不動産業者様より中古住宅の住宅診断の依頼を受け伺ってきました。

調査物件は以前は店舗兼住宅として使用していたものを不動産会社様が買取りをした物件で、リノベーションやリフォームを実施したのちに販売することを検討しているため、リフォーム前に見えない部分の老朽化や不具合を事前に知っておきたかったとのことで診断依頼をされたとのことでした。

不動産業者様は、既にこの物件には雨漏れがある事は承知していて、建物南面の外壁材表面にひび割れや欠損・変退色などがあり、バルコニーには笠木のひび割れや破断、シート防水の浮き・剥がれなどがあり、また、それらの原因によりで室内の天井や壁表面には雨染み跡が見られる状況でした。

気にされていた見えない部分の状況は、特に床下の診断においては壁内や床組に不具合が確認され、土台や柱・筋かいに雨染み跡、腐食、クロアリの巣、シロアリの食害による被害などが確認されました。

当初は室内のリノベーションと外壁塗装を行う程度で販売する予定だったようですが、事前に住宅診断を行ったことで、その程度の改修工事ではとてもお客様に安心して販売できる物件ではないことが分かり、しっかりと不具合箇所の解消を含めたリフォームを検討されていくようです。

今回は良心的な不動産会社様でしたので、見えない劣化事象に対して誠実に向き合っていますが、住宅診断(インスペクション)という考えがなかった頃には、どんな中古物件が販売されていたのか心配になってきます。

今回のような事例があるので、一般・個人投資家様、不動産業者様には中古物件を売り出す前には事前の住宅診断を必ず実施して頂き、お客様に中古物件の現況を正しく理解してもらえるように住宅診断済みの物件として販売を検討をしてもらえると良いと思います。

それにより売主様買主様の中古住宅における紛争が軽減され安心して売買が行われ中古住宅市場の活性化に繋がるのではと思います。

また現在、人口減少を背景に空き家が増え続けているという問題が深刻化しています。

それにより、放置される空き家の倒壊などが懸念されて2015年に「空家対策特別措置法」が制定され、修繕や解体の指導をしても従わない所有者に勧告して、税の優遇措置(固定資産税1/6減税)の解除、行政代執行による解体ができることが可能になりました。

しかしながら、特定空家の指定されないがこのまま放置すれば悪化が見込まれる空き家が多く存在していることから、改正が検討され窓が割れていたり、雑草が繁殖したりしているものを「管理不全空き家」と規定し、税の優遇措置を解除できる法案改正をすすめています。

昔は不動産は資産と言われてきましたが、物件の状態ではとんでもない負債になりかねないので、定期診断やメンテナンスなどを行いしっかりと管理をしておくことが重要になってきます。

これからの中古物件の販売・購入では住宅診断済みか否かはとても大事なポイントになります。

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