タイルの浴室の危険性

「浴室内に羽アリが発生して困っている」とのお問い合わせを頂き調査へ伺ってきました。

浴室は最近多く取り入れられているユニットバスではなく、床や壁がタイル張りづくりでした。

築年数が経った住宅で多くみられますが、素材となるタイルは耐水性能や耐火性能が強いだけではなく、太陽光や温度・湿度の変化にも強いという特徴、また、浴室用のタイルには使用できる素材やデザインのラインナップが豊富であるという特徴があるため自分好みの浴室にカスタマイズしやすくユニットバスにはない大きなメリットがあるので、近年でもお洒落なデザイン住宅などで採用されています。

しかし、タイル張りの浴室にはデメリットも多く、

①構造的に床の下や壁内の経年劣化の状態がわかりにくく知らない間に問題が深刻化しているリスクがある。

②タイルとタイルの間の目地や浴槽やドア・サッシ廻りのシーリング材が劣化して構造躯体内への水漏れに繋がり水分によって木材が朽ちたりシロアリやカビなどが繁殖しやすい状態になる。

③浴室内の劣化が軽微な場合は簡単な補修やタイルの張り替えで対応できる可能性もありますが、補修と張り替えどちらで対応すべきかどのような作業が必要になるのかを判断することが難しいなどが挙げられる。

④給水・排水の配管が老朽化により漏水しても気が付きにくく躯体を腐朽させたり、シロアリの被害を大きくさせてしまう、また、修理費が高額になる。

などの傾向があります。

今回お問い合わせを頂いたお宅も、デメリットの①、②が原因でシロアリ発生の原因となっていました。

現在、新築住宅の多くはユニットバスを採用しており、リフォームでもタイル張りの浴室からユニットバスへ交換するケースが主流です。

そこで今回のお客様に、タイルのひび割れによる漏水やシロアリ被害、木材の腐朽をそのままにしたのでは根本的な解決にならないことを説明させてもらい、この先のことも考えてデメリットの少ないユニットバスへの交換をご提案させてもらいました。

また、タイルの浴室は冬はとても冷えるためヒートショックの原因にもなります。

毎年、入浴中の死亡者数は年間1万9千件とも言われ、その多くがヒートショックによるものと考えられています。日本の高齢化社会の状況からみても断熱性の高いユニットバスへの交換が求められます。

シロアリの発生は、その住宅がもっている劣化のシグナルでもあるので、木を見て森を見ずにはならないように、当社では住まいにとってより良い対策をお勧めしています。

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